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月刊誌ナイルス・ナイル
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ナイスルナイルはよりよいライフスタイルを提案するカルチャーファッション誌です。
世界的に活躍する日本人画家、彫刻家などのアーティストをピックアップ。
このコラムは2005年12月号より2007年9月号までに連載した記事と現在執筆のもの。
2007.6月号 NO.125 カバーフォト:Masahiro Goda ---------発行:ナイルスコミュニケーションズ
[登場アーティスト]
杉本博司(No.107 )
篠原有史男(No.108 )
黒田アキ(No.109)
荒川修作(No.110)
中島由夫(No.111)
安田侃(No.112)
小林孝宣(No.113)
外尾悦郎(No.114)
ジミー大西(No.115)
松山修平(No.116)
草間彌生(No.117)
村上隆(No.118)
森万里子(No.119)
奈良美智(No.120)
川俣正(No.121)
千住博(No.122)
新宮晋(No.123)
リー・ウー・ハン(No.124)
絹谷幸二(No.125)
横尾忠則(No.126)
大竹伸朗(No.128)
ヘルマン・ニッチェ(No.176)

芸術家と自由 ー 絹谷幸二(きぬたにこうじ)


 15世紀初頭、オランダのファン・エイク兄弟によって油絵の具が発明される以前、ヨーロッパではフレスコやテンペラといった技法で絵は描かれていた。
 フレスコ画(正確にはアフレスコ=affresco)は”新鮮な”という意味のイタリア語を語源にもち、漆喰が乾かぬうちに水溶性顔料で描く技法である。漆喰の石灰質が二酸化炭素を吸収し化学反応で表面に水に溶けない炭酸カルシウムの被膜を作り絵が長く保護される。それで何百年、何千年と常に新鮮な色彩を保っていられるのだ。
 しかしフレスコ画は漆喰が乾かぬうちに描かなくてはならず、描くスピードや面積を計算しながら進める必要がある。また塗り直しができないため失敗したら硬くなった漆喰をかき落とさなければならずかなり難しい技法だ。他にも乾いた漆喰に描く方法や色漆喰を重ね塗りしかき落とす方法などもある。それに対してテンペラ画は鶏卵や膠などと顔料を混ぜあわせ絵の具を作り描く技法だ。その名称は混ぜ合わせるというイタリア語Temperareが由来になっている。
 そんなフレスコ画の歴史は長く、ポンペイの壁画からあの有名なバチカン市国システィーナ礼拝堂のミケランジェロの大壁画やラファエロの「アテナイの学堂」などルネッサンス期までの名画の数々はフレスコ画で描がかれているものが多い。ちなみに2万年ぐらい前のラスコーやアルタミラ洞窟壁画や奈良の高松塚古墳の絵もフレスコ画と言われている。
 絹谷幸二氏はそのフレスコ画をイタリアで習得し活躍する画家である。
 1943年奈良県に生まれる。東京芸術大学および大学院壁画科卒業。28歳のとき渡伊、ヴェネチア・アカデミア入学。アフレスコ古典画法を学ぶ。マーサ賞受賞、ベニス近代美術館買上げ。74年第17回安井賞受章。78年イタリア・マニフェスト賞受賞。87年第19回日本芸術大賞受賞、89年毎日芸術賞受賞、97年には長野冬季オリンピック公式ポスターを手がける。01年には日本芸術院賞受賞など絹谷氏の築いてきたキャリアは不動のものだ。
 そんな絹谷氏の作品は鮮やかな色使いとリズミカルな筆致が特徴だ。イタリアの陽光にきらめく地中海のイメージを彷彿とさせるそれらの絵はとても楽天的でもある。どちらかといえば”火”の印象が強いかもしれない。パチパチ燃え火の粉をまき散らすイメージだ。激しい色彩のハーモニーはひしめき合い摩擦音すら発しているようだ。それらは潮騒だったり、森のざわめき、人々のささやき、鳥のさえずりや心音にも似ている。
 ところで絹谷氏は他の芸術家と同じように自然をこよなく愛し長いあいだスキューバダイビングを楽しんでいる。海の中にいる時の無重力な感覚、浮遊感が好きだからと言う。それを読んでふと思った。実は絹谷氏の作品は情熱的であるが、おおらかでリズミカルな海の中にいるようなゆらぎの世界を表現しているのではないだろうか、と。
 それら炎と思っていた画面は、まったく正反対の水の世界だったのかもしれない。天空から差し込む陽光がショーステージように輝くきらびやかな世界だ。
 シャガールが好んで空中浮遊する人物を描いていたが、重力から解放されることも自由のひとつではないだろうか。海中を泳ぎ回り自然と一体になることでその自由を感じ、同時に人間の無力さ・刹那を知り自然を尊び共存の重要さを悟る。あくまで推測だが、絹谷氏たち芸術家とは人間にとっての自由の本当の意味や価値をメッセージとして発信し続けているのではないだろうか?!
 地球の表面積の70%は海など水が占めている。残り30%が陸地だ。偶然かどうかはわからないが、同じように体の約70%は水分と言われている。フレスコ画は水分が蒸発するまでの勝負だ。もちろん絹谷氏がフレスコ画に出会った場所も”水の都”ヴェネチアである。
 ちなみに水は20億年ほど前のままの変らぬ姿で地球上を循環しているそうだ。つまり我々人類の中に満たされている水分も20億年前のものなのだ。
(参考文献:ウソ力の鍛え方 日経新聞社 2003年。絹谷幸二公式ホームページ http://www.artstyle.jp/

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