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月刊誌ナイルス・ナイル
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ナイスルナイルはよりよいライフスタイルを提案するカルチャーファッション誌です。
世界的に活躍する日本人画家、彫刻家などのアーティストをピックアップ。
このコラムは2005年12月号より2007年9月号までに連載した記事と現在執筆のもの。
2007.4月号 NO.123 カバーフォト:TONY---------発行:ナイルスコミュニケーションズ
[登場アーティスト]
杉本博司(No.107 )
篠原有史男(No.108 )
黒田アキ(No.109)
荒川修作(No.110)
中島由夫(No.111)
安田侃(No.112)
小林孝宣(No.113)
外尾悦郎(No.114)
ジミー大西(No.115)
松山修平(No.116)
草間彌生(No.117)
村上隆(No.118)
森万里子(No.119)
奈良美智(No.120)
川俣正(No.121)
千住博(No.122)
新宮晋(No.123)
リー・ウー・ハン(No.124)
絹谷幸二(No.125)
横尾忠則(No.126)
大竹伸朗(No.128)
ヘルマン・ニッチェ(No.176)

風の彫刻家 ー 新宮晋(しんぐうすすむ)


 記録的な暖冬だ。CO2削減がひっ迫した課題になってきた。今年「An inconvenient Truth」(不都合な真実)がアカデミー最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞。ブッシュに敗けた元大統領候補アル・ゴア氏の地球温暖化の講義をまとめたストーリーというのも象徴的だ。
 温暖化は100kmある大気圏のうち、地表から約11km上空までの対流圏とよばれる中で起こっている。地球をタマゴの大きさに例えれば殻よりもはるかに薄い。こんなに薄いのでは地球はあっという間に沸騰してしまうんじゃないかと余計な心配までしてしまう。とにかくより以上に自然の偉大さ・恩恵にもっと敬意を払わなければならない時代になっていくのは明らかだ。
 硬い話になってしまったが、自然が芸術家にとって最良の師であることはいつになく言われている。前回書いたが芭蕉の説いた、その自然そのものに美を見いだせという造化、神の光から太陽の光にとってかわったイタリアルネッサンス、マネやセザンヌ、ゴーギャンなど印象派の画家たちもしかり。
 そんな自然でも太陽、海や川から山や森、木々や野に咲く花々、小鳥や鹿、蝶など生き物であったりいろいろあるが、今回は“風”を作品にしてしまったアーティストをとり上げてみたい。
 新宮晋。1937年大阪生まれ。東京芸術大学絵画科卒業後、イタリア政府奨学生として渡伊。ローマ国立美術学校絵画科卒業後。66年帰国後、風で動く立体作品の制作をはじめる。
 70年大阪万国博覧会では「フローティング・サウンド」を人工湖に設置。71年より一年間ハーバード視覚芸術センター客員教授に招聘。79年第四回吉田五十八賞、第8回現代日本彫刻展において国立国際美術館賞。86年横浜ビエンナーレ野外彫刻展で大賞受賞、第十八回日本芸術大賞受賞。87〜89年には欧米9都市で風の野外彫刻展「ウインド・サーカス」を開催。98年、三宅一生パリコレにて舞台装置担当。2000〜01年には世界巡回プロジェクト「ウインドキャラバンー地球観測の旅」を開催。02年その功績で第43回毎日芸術賞特別賞、紫綬褒章を受賞。銀座エルメス(01年)や関西国際空港、天保山マーメイド広場、新宿駅西口ロータリーなど国内のみならず世界各国に彼の彫刻作品が設置されている。また「いちご」「じんべいざめ」など絵本も数多く出版。彫刻以外でもその才能を発揮している。
 新宮晋の作品は見てすぐにわかる。風で動いていればそれである。大きな金属の塊が微妙なバランスで微風でも優雅に舞うように羽根が振れ、陽光を受けきらめく。その様子は風をぐっと身近に引き寄せ、自然の存在を眼前に示す。
 作品は一見、風が吹けば回るだけの簡単な構造に見えるがいつも心地よいそよ風ばかりが吹いているわけではない。一昨年アメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーヌのように牙をむくこともしばしば。だから野外設置のような大きな作品になればなるほど見えないところで構造や強度、風車が回り過ぎないようなストッパーなどクリアしなければならない技術的問題は多いのだ。
 00年から1年間かけた彼の「ウインドキャラバン」というとても素晴らしいプロジェクトがある。それは分解組立できる風の彫刻を製作。日本の兵庫県三田市のアトリエから始まりニュージーランド、フィンランド、モロッコ、モンゴル、ブラジルの各国をコンテナに積んで持ち回り、現地の人たちを巻き込み開催した壮大なイベントである。日本では田んぼで、ニュージーランドでは無人島で、フィンランドでは凍った湖上に、モンゴルでは大平原に、ブラジルでは砂丘に、モロッコでは岩山に設置。特にモロッコは偶像崇拝を禁止するイスラム文化圏であるため彫刻は宗教問題になる場合が多々あるが、そこでも歓待される。なぜなら風を表したモニュメントだから偶像ではないと理解されたという。
 日本では古来、天御柱之命、国御柱之命(あめのみはしらのみこと)は風の神といわれ奈良県竜田神社に祀られている。7月4日には風鎮祭がおこなわれ船舶や航空、漁業農業など風に関係する人たちの信仰があつい。また風車や風鈴、凧などの遊びから祭りや言葉がたくさんあり、万葉集にはじまり多くの短歌も残されている。ややもすると風は生活に密接しすぎているためか、時としてその存在を忘れてしまう。新宮の作品は風を具現化することによって、そんな自分たちにあらためて自然の恩恵と怖さを知らしめてくれるのではないだろうか。
 著書『風の旅人』に「自然は人間を必要としないが、人間は自然がないと生きていけない」と記されていた。もはやこの言葉が馬耳東風ではすまされないのだ!

参考資料:『風の旅人』(扶桑社/2002)、ウインドキャラバンホームページ http://www.wind-caravan.org/
[掲載写真]ウインドキャラバン モロッコ 2001

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