Hormone Sekine Official Site
 
Japanese  
Japanese Site
spacer
English Site

TOP

SUMMARY

EXHIBITIONS

PRODUCT

PROFILE

LINK

What's new

CONTACT


月刊誌ナイルス・ナイル
掲載コラム


cover
page
ナイスルナイルはよりよいライフスタイルを提案するカルチャーファッション誌です。
世界的に活躍する日本人画家、彫刻家などのアーティストをピックアップ。
このコラムは2005年12月号より2007年9月号までに連載した記事と現在執筆のもの。
2007.2月号 NO.121 カバーフォト:Yoshie Nishikawa---------発行:ナイルスコミュニケーションズ
[登場アーティスト]
杉本博司(No.107 )
篠原有史男(No.108 )
黒田アキ(No.109)
荒川修作(No.110)
中島由夫(No.111)
安田侃(No.112)
小林孝宣(No.113)
外尾悦郎(No.114)
ジミー大西(No.115)
松山修平(No.116)
草間彌生(No.117)
村上隆(No.118)
森万里子(No.119)
奈良美智(No.120)
川俣正(No.121)
千住博(No.122)
新宮晋(No.123)
リー・ウー・ハン(No.124)
絹谷幸二(No.125)
横尾忠則(No.126)
大竹伸朗(No.128)
ヘルマン・ニッチェ(No.176)

感性の間仕切り ー 川俣正(かわまたただし)


 英語のフレーズにBeauty is only skin deep「美人というも皮一重」というのがある。外見よりも中身が大事、という意味だ。
 このフレーズに出てくるスキン・ディープ。以前、このイディオムとは逆の意味で面白い説を展開していた作家がいた。そのアーティストの名を失念してしまい申し訳ないが、スキン・ディープを”表層”と訳し人は常に内側に問題の解決を求めようとしがちだが、その表層部分に着目することこそが重要で、そこに物事の本質が隠されている、というような話だった。
 生物の起源は原形質という膜ができてはじめて増殖が可能になり、生命の最小単位の細胞を形成。現在、不確定要素が多く諸説紛々だが膜ができたところをもって生命の起源と定義している。宇宙の果てもそうだ。その境界をさぐることが結局宇宙の起源にもつながり、”知”とはとどのつまり表層部分の探求とは言えないだろうか。
 川俣正。1953年北海道生まれ。84年東京芸術大学美術研究科博士課程満期退学。77年より発表を始め80年代からは世界各地で制作。個人的プロジェクト以外にも82年、世界的な現代美術のイベント、ヴェネチア・ビエンナーレ参加。84年よりニューヨークPS1に滞在、87年、92年ドクメンタ出品(ドイツ)、その他にもサンパウロ、リヨン、シドニー・ビエンナーレなどほとんどの国際的展覧会に招待出品している。また2000年日本文化芸術振興賞受賞。99年から05年まで東京芸術大学先端芸術表現科教授。05年横浜トリエンナーレ総合ディレクター就任など国内外ともに高い評価を得ている現代美術家だ。
 彼は一貫してインスタレーション(設置、展示の意味)という方法で作品を制作している。それは絵画や彫刻と違い展示空間すべてを作品に包括してしまう表現手法である。ほかにもこの手法で制作する有名なアーティストにクリストがいる。デビュー当初、彼らの類似性を指摘する声もあった建物や橋を白い布で包み込んでしまうブルガリア出身の現代美術家だ。
 川俣は貫板と角材などで建物や庭、公共施設などに構造物を制作する。最初の頃、ギャラリーやアパートの室内に間仕切りみたいなものを組んだり、建物の外側を板材で囲む作品を精力的に発表。組んではバラし材料は持ち回りで現地制作。だから人手と場所さえ確保できればいくらでもつくれた。そのためか当時、ギャラリーやグループ展のオーガナイザーにとって準備時間が少なくても出品してくれると重宝がられたらしい。
 フィールド・イン・ハノーバー(ドイツ、97年)というプロジェクトではホームレス小屋のようなダンボールの家を街中に点在させたり、リオ・デ・ジャネイロの貧民窟を見てインスピレーションがわいたという「ファヴェーラ・イン・オタワ」、「ファヴェーラ・イン・牛窓」、「ファヴェーラ・イン・ヒューストン」(ともに91年)などはまさにバラック小屋が密集するスラム街の様相をていしている。ワーキング・プロセス(オランダ、96年)では尾瀬の木道のように木の渡り廊下を麻薬やアルコール依存症治療者たちと湿地帯に建造。これは実際、更生クリニックへの通う道であったりもした。また7年もの歳月をかけ行政サイドとの交渉の末、実現したプロジェクト・オン・ルーズベルト・アイランド(ニューヨーク、92年)などもある。
 川俣はつねに設置場所にまつわる歴史、政治や社会的背景も巻き込み作品にとり込んでしまう。それはインスタレーションという表現方法のみが可能な絵画・彫刻との決定的な違いでもある。とは言ってもかなり美術に造詣があったとしても街角などに突然出現するその光景に戸惑いは隠しきれない。木っ端や廃材、プレハブ仮設を大工仕事のように建てるだけで特別な素材や技術を使っているわけでもない。
 ではなぜここまで世界的に活躍できるのであろうか?
 川俣はスキン・ディープ、つまり細胞膜のように感性の間仕切=表層をつくり出しているのだ。美の具現ではなくアートとはそもそも何なのか?という問題提議こそが芸術だ、と。それが国際的に評価される一因につながるのではないだろうか?!  ますますわからなくなる現代美術。だから面白い。

参考資料:「BT美術手帖」1998年10月号/美術出版社、アートレス―マイノリティとしての現代美術/フィルムアート社、改訂版2006年 [掲載写真]コンストラクション・サイト・プロジェクト「ノヴェ・ディ・ジュルホ・カサノーヴァ」(ブラジル・第19回サンパウロ国際ビネンナーレ1987年) ©Tadashi Kawamata +on the table,To

Page Top↑
前の号
次の号を読む
 

TOP
SUMMARY
EXHIBITIONS
PRODUCT
PROFILE
LINK
What's new
Blog
CONTACT
タグボートにて銅版画作品(キドプレス・プロデュース)絶賛、販売中!http://p.tl/Qeme
All Reserved ©Hormone Sekine,2010