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月刊誌ナイルス・ナイル
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ナイスルナイルはよりよいライフスタイルを提案するカルチャーファッション誌です。
世界的に活躍する日本人画家、彫刻家などのアーティストをピックアップ。
このコラムは2005年12月号より2007年9月号までに連載した記事と現在執筆のもの。
2006.10月号 NO.117 カバーフォト:Mark H.Higashino ---------発行:ナイルスコミュニケーションズ
[登場アーティスト]
杉本博司(No.107 )
篠原有史男(No.108 )
黒田アキ(No.109)
荒川修作(No.110)
中島由夫(No.111)
安田侃(No.112)
小林孝宣(No.113)
外尾悦郎(No.114)
ジミー大西(No.115)
松山修平(No.116)
草間彌生(No.117)
村上隆(No.118)
森万里子(No.119)
奈良美智(No.120)
川俣正(No.121)
千住博(No.122)
新宮晋(No.123)
リー・ウー・ハン(No.124)
絹谷幸二(No.125)
横尾忠則(No.126)
大竹伸朗(No.128)
ヘルマン・ニッチェ(No.176)

増殖する生命体 ー 草間彌生(クサマヤヨイ)


 人間の進化。これから我々人類はどういう姿に変化していくのだろう? 
 進化には大きくわけてふたつの理論がある。それは獲得形質の遺伝を唱えたラマルクとダーウィンで有名な選択と自然淘汰によって進化する、と言う進化論だ。
 後天的な原因で、つまり環境に順応した結果や獲得した能力がその子孫に受け継がれ進化すると唱えたラマルク。発表当時から腕や足を失ったことは子孫に受け継がれない、という揚げ足取り的な反論も多く専門家の間ではあまり認められていないのだが、最近の研究ではそうもいえないらしい。
 分子生物学にエピジェネティクスという研究分野があり、後天的にも遺伝子形質が変化するらしいことがわかってきた。事のたとえだが、鍛えて強くなったりすると突然変異やDNA順列の置換ミスではなく遺伝子形質に変化が起き、後天的に獲得した親のその能力を子孫が引き継ぐというのだ。
 草間彌生。その名は知らなくとも派手な水玉や縞模様の絵やソフトスカルプチャーという布製の大きなトゲトゲが生えたようなオブジェをご覧になった方は多いと思う。
 1929年長野県松本生まれ。京都市立美術工芸学校で日本画を学ぶ。のち57年アメリカ・ニューヨークへ渡りアーティストとして不動の地位を築く。
 絵画・彫刻での活動は枚挙にいとまがない。主なものだけを記すが、93年、ベネチア・ビエンナーレ出品。98・99年、大回顧展がロスアンゼルス・カウンティ・ミュージアムを皮切りにニューヨーク近代美術館、ウォルカーアートセンター、東京都現代美術館で開催されたり、2000年には第50回芸術選奨文部大臣賞、外務大臣表彰を受賞。01年、朝日賞受賞。03年、フランス芸術文化勲章オフィシェ受勲など日本を代表する世界的アーティストなのだ。80歳近くなった現在でも精力的にアメリカをはじめワールドワイドに発表を続けている。
 また活動範囲も現代美術の枠にとらわれずアートパフォーマンスや映画、小説、詩、三宅一生などのファッションデザイナーやピーターガブリエルなどミュージシャンとのコラボレーション等、多岐にわたる。
 68年自主製作した「草間の自己消滅」は第4回ベルギー国際短編映画祭入賞、第2回アン・バー映画祭にて銀賞受賞。小説「クリストファー男娼窟」では第10回野性時代新人賞を受賞している。69年には水玉模様のクサマドレスやテキスタイルデザインがアメリカのデパートで売られ、自分のブティックも開店してしまうほどであった。
 さて、そんな彼女の作品の特徴は? と言うと無規則に増殖を続けるがごとく画面いっぱいに描かれた水玉や細胞を思わせる縞模様だ。黄だったり黒だったり赤だったり白だったり、その作風は一度見たら忘れられないほどシンプルでパワフルである。
 なにしろ花やハイヒール、かぼちゃなどいろいろなイメージに水玉や細胞が永遠に分裂・増殖するかのように描かれている。おそらく他のどんなに偉い画家が水玉や縞模様を描いたところで草間の作品以上のインパクトは与えられないだろう。
 ウォレスが同様の論文を発表することをダーウィンが知り、遅れまいと慌てて種の起源を仕上げたように、ピカソが新しいアイデアをほかの画家仲間に決して見せなかったように現代芸術も早い者勝ちなところがある。
 今でこそ、草間の作品をみて、何でこれが? こんなの自分にでも描ける! と第一印象を得る人がほとんどだと思う。しかし10歳の頃からすでにこれら水玉や縞模様を描いていたといい、さらに驚嘆すべきは70年近くたった今でも同じ模様を描き続けているということなのだ。
 「幼少の頃から常に自分の中で増殖する幻覚、幻聴に悩まされてきた、描き続けなければ生きていけない」また、「人体に水玉模様をえがくことによって、その人は自己を消滅し、宇宙の自然にかえるのだ」と草間は語っている。つまりそれは自分という存在を同時代の尺度では測ることができず、自己を認識することができないからとは言えないだろうか。草間は生み出した作品でのみ自分の立っている場所を確認でき、かろうじて心の平衡を保てるのだ。
 もしかすると人類の未来の姿は、丸=球体なのかもしれない
[掲載写真]image01/かぼちゃ(BT)、シルクスクリーン/45.5cm X 38.3cm(用紙サイズ)/ed.120
image02/花(2)、シルクスクリーン/70cm X 59cm(用紙サイズ)/ed.60
以上、草間彌生全版画集 All Prints of KUSAMA YAYOI 阿部出版株式会社 2005より

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