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月刊誌ナイルス・ナイル
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ナイスルナイルはよりよいライフスタイルを提案するカルチャーファッション誌です。
世界的に活躍する日本人画家、彫刻家などのアーティストをピックアップ。
このコラムは2005年12月号より2007年9月号までに連載した記事と現在執筆のもの。
2006.7月号 NO.114 カバーフォト:H.HIGASHINO(NY) ---------発行:ナイルスコミュニケーションズ
[登場アーティスト]
杉本博司(No.107 )
篠原有史男(No.108 )
黒田アキ(No.109)
荒川修作(No.110)
中島由夫(No.111)
安田侃(No.112)
小林孝宣(No.113)
外尾悦郎(No.114)
ジミー大西(No.115)
松山修平(No.116)
草間彌生(No.117)
村上隆(No.118)
森万里子(No.119)
奈良美智(No.120)
川俣正(No.121)
千住博(No.122)
新宮晋(No.123)
リー・ウー・ハン(No.124)
絹谷幸二(No.125)
横尾忠則(No.126)
大竹伸朗(No.128)
ヘルマン・ニッチェ(No.176)

カタルーニャに石を求めて ー 外尾悦郎(そとおえつろう)


 キリスト教を除いては語ることができないヨーロッパ文化。どの街を訪れても中心部には絢爛豪華な聖堂がそびえ、街のいたるところに教会が点在する。中に入ると壁にはキリスト教を題材にした大きな絵画や彫像が所狭しと飾られ、窓に嵌められたステンドグラスからは柔らかい光がそそぎ荘厳な雰囲気をいっそう劇的に演出する。運が良ければ聖歌隊やパイプオルガンの演奏に出くわし、筆舌に尽くしがたい厳粛さとドラマティックな響きに思わず涙した人も多いのではないか。たとえ莫大な予算をかけ大スターが登場するどんなに素晴らしい舞台でも、教会のミサを追い越すことはできないと信者でなくとも感激してしまう。
 外尾悦郎、ガウディの設計で有名なサグラダ・ファミリアの主任彫刻家である。コーヒーのCMで覚えている方もいるだろう。1953年博多生まれ。京都市立芸大彫刻科を卒業、教師になるが一年後、石を求めてヨーロッパへ・・・。
 スペイン・バルセロナでサグラダ・ファミリアに出会う。外尾氏はまだそれほど有名ではなかったその巨大な建築物を見て完成しているのか修復中なのか、それとも解体中かも知らなかったという。しかしあたりに原石が散らばっていたので、なんでもいいからその石を彫らせて欲しいと頼み込む。すると東洋から来た異教徒にもかかわらず試験を受けることに。そして見事合格。1978年より彫刻家として参加するようになる。
 大酒飲みでヘビースモーカー、そのうえ頑固者で恋愛ベタ。ガウディにまつわる逸話は事欠かない。しかしそのユニークな人生以上に独創的な設計で世界に名をはせる。サグラダ・ファミリア以外では、グエル公園やカサ・ミラ、カサ・バトリョなど生涯約25件ほどのプロジェクトを手がけている。
 聖家族を意味するサグラダ・ファミリア贖罪教会。書店主ボカベーリャとサン・ホセ協会により計画される。1882年の着工当初はビリャールという建築家が無償で請け負っていたのだが、翌年ビリャールが施主とのトラブルで退き、ガウディが2代目主任建築家となる。ガウディはこのプロジェクトに1926年73歳で路面電車に轢かれこの世を去るまで身を捧げた。
 銅板機具職の家に生まれたガウディは、根っからの職人気質で理論とかは信じていなかった。なので著作はなくメモもほとんど記さなかった。また建造物でガウディが生前、完成を見届けたのは3つあるファサードのひとつ、生誕の門だけだった。その後、戦争などで図面も紛失し、唯一残ったのが一枚のスケッチとバラバラになった縮尺模型だったという。再びヨーロッパに平和が訪れるとそれをもとに弟子たちが建築を再開する。しかし外尾氏が来るまで彫刻専任者はいなかったそうだ。
 外尾氏はまず最初、びわの実と葉のついた枝を渡される。当時、言葉が不自由だったが、これを作れ、という指示は感覚でわかった。そしてその彫刻は15年後に大窓に取り付けられたという。
 ガウディは自然に学べ、というような言葉を残している。また、まったくの直線は存在しないとも言った。彼の製作した家具や建築物の装飾は当時、ヨーロッパに流行っていたアールヌーボーと同一視されることあるが、オーガニック・デザインとも言うように多用された植物のフォルムは全く違う発想から生まれている。
 外尾氏は言う。ガウディはオリジナルとは何か? ということを常に考えていた。それは人のまねをして新しいスタイルをつくることではなく自分自身の出発点に戻り極めること、それが本当のオリジナルだ、と。
 2代目主任建築家は一本の木をさして、バランスをうまく取り合いすべて均衡しながら葉がしげり枝が伸び幹が上へ上へと育っていく、これこそ神が芸術家であることの証しであり建築家にとって最大の師でもある、とも語った。
 それを最後まで追い求めた建築家。そして石を求めて遠い日本からやってきた彫刻家。もちろんこの未完のモニュメントに挑戦し続けている何百人もの人間のうちの一人には過ぎないのだろうが、設計図も模型も満足に残っていないこの巨大建造物をいかにして仕上げていくのか?!
 外尾氏の求めるオリジナルも、今は亡きガウディの求めていたオリジナルも一つしかないのだ。それが合致したとき、かつてさし示した一本の木のように幹となり枝となり葉がしげり偉大なオリジナルとしてそびえ立つのである。
 ところで完成まであと100年以上かかると言われていたサグラダ・ファミリアだが近年、観光ブームのおかげで資金がかなり潤い(南欧のゆったりした風土なのであくまで希望的観測だろうが)来年には身廊部の天井がかかり内部空間が姿を現し、なんと2022年には全体が完成するというニュースも流れている。
※参考文献:「GAUDi ガウディが知りたい!」エクスナレッジ発行 2004、「すきっと」道友社発行 2004年
[掲載写真]
1. 写真提供:スペイン政府観光局

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